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ふたつのいばり方

しかしながら、世間が容認しないいばり方があるのは間違いない。

それは、役割とパーソナリティの識別がつかない人のいばり方です。例えば人が「課長」「部長」「先生」と呼んでくれた。人は私を尊敬している。そこで自信ありげに、家父長的に「~しろ」スタイルの応答をする。役職を呼ぶのは、その人を尊敬しているのではなく、その人の役割をそう呼んでいるだけのことが多い。勿論先日のノーベル賞受賞された山中先生などは、本当に尊敬されて「先生」と呼ばれていると思いますが。もし、人柄に対して敬意を表すべく「先生!」と呼んでいる場合は、「~しろ」スタイルで応答してもいばっていると受けとめられることは少ない。父親が息子に「おい、新聞を取ってっこい」と命じた場合、息子が「おやじ、いばるなよ」とは言わない(思わない)のは、父親のパーソナリティに敬愛の情を有しているからです。父親もそのことは知っているから平気で「新聞取ってこい!」と言えるのです。(ただ、近年はこんなことを言ったら、「なにいばってんだよ!」と言われるかもしれません。)

以上が好ましくないいばり方です。ここで伝えたいのは、もう一つの好ましいいばり方です。それは自分の任務に忠実と言う意味のいばり方です。

この好ましいいばり方ができる人は普通次の二条件を持っています。

ひとつは老婆心です。人のためを思う優しさです。たとえば亭主の健康を気遣うから「お酒はもう終わりです」と女房は毅然と言い放つ。もうひとつの条件はプライドです。自分の任務に対して、自分自身が敬意の念を持つことです。たとえば第二次世界大戦中のことらしいですが、陸軍のある兵士が輸送船の船長に「船頭!早く船を出せ!」と要求した。「船長の俺に船頭とは何事か。貴官が謝らない限り出航しない」と船長は立腹して見せた。他者に敬意を表してもらいたければ、先ず自尊を示すことです。