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『リーダーには、ネアカが多い』

国内外を問わず、私はいろいろな人との交流の中で、仕事の能力や人格などの面で数多くの素晴らしい人物に出会う機会に恵まれた。
そして、それらの人々に共通しているひとつの特徴は、「肯定的で明るい」ということであった。

カーネギーやロックフェラー、松下幸之助氏などの伝記を読んでみても同じである。
ビジネスの頂点を極めたとされる彼らは、まさに次から次へと襲いかかっ てくる多くの障害や困難をその度ごとに克服した。
障害や困難に対処するにあたっては、いずれも肯定的思考で取り組んだことが読み取れるはずだ。

「私の人生は失敗の連続である。九九の失敗をしながら、ただ一つの成功によって勝利を得た」と語った本田宗一郎氏は、また、「私は何事も、暗く悪く考えないようにしてきた。
悪く考えてよくなるものならいいが、そんなことは絶対ない。いつも“必ず何とかなる”と、楽天主義で押し通してきた」とも言ってい る。

ソニーの創業者である盛田昭夫氏も、リーダーの第一条件は『ネアカ』であることをあげている。

どんな困難や挫折にあっても、前へ前へ、明るい方へと明るい方へ、と考える。
ついには周りの人間をも明るくして、いつのまにか困難に挑戦することを楽しみへと変えてしまう。
ピンチこそ最大のチャンスという発想である。

時代がどのように変化しようと、ビジネスというのは人間を通じて成り立っている。
だからこそ、肯定的な考え、周りの人間をも明るく するようなネアカ人間であることは、大きなプラス要因である。

ビジネスの場には初対面のシーンが多いが、ネアカタイプが初対面でも他人に好印象を与えるのに対して、ネクラタイプは自分をわかってもらうまでに時間を要する。場合によっては、初対面では悪印象を与えてしまわないとも限らない。
初対面でいい印象を与えるうえで、ネアカであって得になることはあっても損はない。

こう云うと、ネクラタイプはますます暗くなってしまうかもしれないが、それは間違いというものである。
誰もがネアカタイプに変身できると言っていいだろう。
本来、「ネクラ・ネアカ」は、どんな人間でも持っている2つの面に過ぎない。
ちょっとした気持ちの持ちようで、ネアカの部分を拡大することが誰でも可能なのである。