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自分にも相手にも期待しすぎない

思い通りにならなくても淡々と受け止める

トラブルに遭った時には「トラブルの理由や犯人を捜さない」
トラブルを避けるためには「自分にも相手にも期待しすぎない方がいい」ことをお話しします。


根拠のない期待は裏切られても仕方ない

トラブルの多くは、自分や相手に勝手に期待しすぎていたのに、それを裏切られた(と勝手に思う)から起こるものです。

そもそも自分や相手に対して持つ「こうしたい」「こうしてほしい」という期待は、根拠のないものです。
根拠のない期待をしても、相手だけでなく、自分でもその通りにはできないものです。
そもそも、いい予想には根拠がないのです。その代わり、悪い予想にはそう思うだけの実績があるので、根拠があるものなのですが。
根拠がないのに、いい期待を勝手に相手(もしくは自分)にかけ、勝手に相手(もしくは自分)に裏切られ、前回書いたように犯人捜しをするようになってしまうのです。

また「自分も相手も信じすぎない方がいい」のです。
例えば何かトラブルがあって、その事情を聞いた時に、「あいつがそんなことなんかするわけがない」と思うことがあるでしょう。
しかしどんな人だって、家族に見せる顔、恋人に見せる顔、友達に見せる顔、仕事で見せる顔は違うものです。それが当たり前です。
にもかかわらず、自分に見せる顔だけを信じて、「あの人はそういうことする人じゃないよね」と言ったりしますが、「あの人はそういうことをするような人には、私たちには見えない」ということでしかありません。
さほど親しくない相手はもちろんですが、親しい友達だって、人間関係ごとに相手に見せる顔はそれぞれ違うものです。それなのに自分に見せる顔だけを信じてしまうのです。

これは自分自身に対しても同じです。
「私はこういうことがあっても動揺しないタイプだから」「大丈夫大丈夫、私いざとなるとちゃんとできるから」と自分を信じてしまいますが、そこに根拠はなく、「そうであってほしい」「そうできればいい」という希望でしかないのです。
それなのに、他人に対してでも自分に対してでも、期待しすぎて、信じすぎて、結果思い通りにいかずにがっかりしてしまうのです。


自分は特に、期待しすぎてはいけない

期待したり信じたりすることが悪いわけではありません。
それは「宝くじが当たればいいな」と思うことと同じようなものなのです。
自分や相手を根拠なく信じたり期待したりするのは、宝くじを買って「当たったら何に使おう」というのと同じくらいのものなのです。
それなのに「あなたを期待していたのに」「信じていたのに裏切られた」と相手を責めるのはおかしいのです。それは、宝くじが当たらなくて、「私はこの3億円でローンを返そうと思っていたのに!」と宝くじ売り場に文句を言いに来る人と大差ありません。

自分や他人のことをどうしても期待したり信じたりしたいのであれば、思い通りにならなくても過剰に反応しなければいいだけです。
とくに、自分に期待しすぎたり、自分を信じすぎた揚げ句、思い通りにならなくて、過剰に自分にがっかりするのはやめた方がいいでしょう。
他人を信じて裏切られた場合は距離を置いて離れてしまえばいいですが、自分に裏切られても自分から離れることはできません。

ですから、自分に期待しすぎ、信じすぎない方がいいのです。
もし思い通りにならなくても「あーできなかった」「やっちゃった」くらいでいいのです。「私、もっとできると思ったのに」「なんでできなかったんだろう」とは思わない方がいい。
せいぜい「こうなったらうれしいな」「そうなったらいいな」と思っておくくらいにしましょう。


相手を疑いそうになったら問題をいったん放っておこう

また、自分や相手を信じたり期待したりする一方で、自分や相手をむやみに「疑う」こともよくあるものです。
例えば「メールの返事が来ないけどどうして?」とか「このメールの意味は?」とむやみに疑って、勘ぐってしまいます。
冷静に考えれば、メールの返事が来ないのは忙しいだけとか、メールの意味が分かりにくいのは説明が足りないだけとか、単純な理由であることの方が多いのですが、裏を読みすぎてしまう。

そもそも、物事には分かりやすいはっきりした理由なんて、そうそうないものです。
それなのに、「いつもはすぐ返事をくれるのにどうしてですか? 私が何か悪いことをしましたか?」と相手に詰め寄ってしまうこともあります。
しかし、メールの返事がすぐ来ない場合の理由は、ほとんどが「忙しくて」「具合が悪くて」です。冷静に考えれば自分だって、メールの返事ができないくらい忙しいことがあるはずです。

何かが起こって相手を疑いそうになったら、その問題についていったん忘れて、考えないようにするくらいがいいのです。
問題を放っておくことでさらに問題が悪化するようであれば、何か手を打った方がいいでしょう。でも多くの問題は、放っておくうちになんとなく解決してしまうものです。

自分のことも他人のことも、期待もしないし信じないし、かといってむやみに疑ってもいけない。
なぜなら、自分も他人も必ずしも予想通りには動かないものだからです。
自分のことも相手のことも、期待しない、信じない、もしも期待して信じたいとしても勝手にがっかりしない。
そしてむやみに自分も相手も疑わない、そして、怖れない。
人生をむやみにドラマチックにしない方がいいのです。ただ生きていくだけで十分に大変なのですから。